さわやかに自転車で走っておりましたら、おや? どこからともなく風鈴の音が聞こえてきました。
それも、ひとつがチリーンと鳴っているのではなく、チリリンチリリンとハーモニーを奏でておるのです。音の発生元は、丘の上の神社でありました。話には聞いていた鈴の宮蜂田神社です。
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蜂田神社があるのは大阪府堺市中区八田寺町
丘といっても、なだらかな坂の上というかんじでして、電動アシスト自転車でしたら、楽勝です。
大阪は堺市の丘陵地にあり、付近は住宅や団地や学校がある生活エリアです。自転車を鳥居の手前に止めまして、参拝することにいたしました。
風鈴の音は、神社の中からと言うより、境内の至る所から聞こえてきます。
ガラスでできた風鈴がそこらじゅうにぶら下がっているのです。ちょうど風鈴祭りの開催中だったのでした。
この神社は、鈴の宮と言われておりまして、由来は、境内の土を使った土焼きの鈴12個を毎年春の初めに神前に供え、鈴音の良し悪しでその年の吉凶を占ったという古事から来ているらしいです。
大量生産の工業製品の風鈴に良し悪しもなかろうもんですが、昔の土焼だと、ひとつひとつ音色が違っていたのでしょうね。
記者が訪れた際は、ちょうど爽やかな風が吹いておりまして、セミのやかましい声と風鈴の音色がマッチして、不思議な音空間になっておりました。
お賽銭箱の上にあるガランガランするための鈴は、風鈴ではなく、他の神社でも見かけるような、普通の鈴でした。
あの鈴のことは、業界では本坪鈴というそうです。または、金口。金鼓(こんく)ともいうそうな。鈴についているヒモは鈴緒といいます。
お寺の場合は、鰐口と呼ぶのが本当だそうです。
ちなみに風鈴というのは、中国から伝わったもので、中国ではこれも吉凶の占いのためだったものが、日本では邪気払いとして吊られるようになったそうです。
蜂田神社の御朱印
せっかくですので、御朱印をいただきました。
神社内に神主様は常駐していないようで、御用の方はお電話を、と書いてありましたので電話しましたら、なんだか普段着の神主様(?)がやってこられまして、御朱印を書いていただけました。
たいていの神社では、御朱印を頂いたら、300円ほど奉納するものですが、こちらでは無料とのこと。
お話によりますと、風鈴祭りは昨年から始まったもので、今年(平成29年)は2回め。
近所の幼稚園や小学生たちの協力を得て、500個ほどの風鈴が集まったそうです。
7月の七夕まつりの際に短冊を用意しているので、余っている風鈴がありましたら、短冊にお願い事を書いて風鈴と一緒に、境内に張り巡らせている縄にぶら下げてくださいということでありました。
そんなに上等なものでなくとも、百均の風鈴でも歓迎ということです。
蜂田神社の由緒
蜂田神社はそんなに大きい神社でもありませんが、延喜式神名帳にも記されている古社であります。
延喜式神名帳(えんぎしきじんみょうちょう)とは、延長5年(927年)当時の全国の「官社」指定の神社一覧でです。
全国で2861社あり、ここに載っている神社は、エライ!ということですね。(当時の政治色を反映しているそうですが)
蜂田神社は地元で親しまれている神社であり、10月の八田荘だんじり祭りの際は、8台のだんじりが神社前の駐車場に集結するとのこと。
また、このあたりの江戸時代からの地場産業である和晒を用いたイベントや、音楽コンサートも行われるそうです。
晒(さらし)体操というのをするそうで、うーむ、想像がつきませんね。次回の時に、参加してみたいと思います。
なお、神社は蜂田(はちた)、地域名は八田(はった・はんだ)と書きますが、神社と地域名では読みが同じで漢字が違うケースは多いですね。このあたりでは他に、鳳(おおとり)の大鳥(おおとり)大社とか、津久野(つくの)の踞尾(つくお)八幡神社とかがあります。
歴史的ないわれがありそうで、興味深いことです。
蜂田神社の鈴塚と三ツ峰稲荷神社
鈴塚も風鈴が鳴り響いております。
鈴塚とは、使用済みや破損した鈴を埋蔵していたところだそうです。針供養や人形供養のようなものでしょうか。
三ツ峰稲荷神社への鳥居を通っても風鈴の音が聞こえてきます。
神社の中にお稲荷さんを祀っているところはよく見かけますね。これは摂社といって、もともと祀られている神様の不得意分野を補うために、別の神様も祀ることは、よくあることだそうです。
お稲荷さんは、稲の豊作を祈る神様でありまして、それが時代とともに商売繁盛・芸事の上達・出世開運など、はばひろくオールマイティになり、庶民に親しまれ全国に4万社以上祀られているとのことです。
風鈴の音色を聞きながら、赤い鳥居の列をくぐるのも、なかなか乙なものであります。
蜂田神社へのアクセス
駐車場は神社の向かいにありますので、車でもお参りに来れます。
住所は、蜂田神社 大阪府堺市中区八田寺町524番地。
最寄り駅は、泉北高速鉄道深井駅。徒歩1.5kmです。
なお、風鈴祭りは、7月1日から8月31日までです。来年も行われるそうです。
ぜひ、夏の暑い季節に、霊験あらたかな風鈴の音を聴きに来てください。
この時期、蚊がけっこうおりますので、お参りの際は、あらかじめ虫除けスプレーを振りかけていくことをおすすめします。
隣には、鈴の宮公園という池のある感じの良い公園がありますので、家族連れでピクニック気分でもお出かけできます。
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